DE-Magazine 大和エネルギーのヒトとシゴトを紹介

CHANGE THE ENERGY

太陽光発電所の長期的な運用を目指し、リパワリングに挑戦

プロジェクト担当者 電力事業部 エンジニアリンググループ 山本 耕平

プロジェクト概要

運転開始から11年目を迎えた DREAM Solar 玄海にて、パワーコンディショナ(PCS)の更新工事(集中型から分散型への交換)を実施。約1年間にわたり、発電状況や発電量などを検証する。これからの太陽光発電所運用に求められるリパワリングの事業化を目指す。

太陽光発電所が抱える
課題解決に向けての実証

2012年の固定価格買取制度(FIT)の施行を機に、多くの太陽光発電所が誕生しました。DREAM Solar玄海も稼働から11年目を迎えますが、同時期に建設された発電所で課題になりつつあるのが、年々低下する発電量、膨らんでいくメンテナンスコスト、さらにFIT終了後の発電所の運用についてです。それらの解決策の一つとして、DREAM Solar玄海にて、現在の集中型PCSから分散型PCSに交換するリパワリング事業の実証を開始しました。

リパワリングには、パネル交換とPCS交換の2つの方法があります。しかし、現行のパネルに交換するにはサイズの違いなどから、架台や基礎までやり直す必要があります。そのため、今回はPCSの更新で検証を行うことになりました。

現在、新設される発電所では、故障時の発電ロスを最小限に抑えられるなどの理由から効率の良い分散型が主流になりつつあります。メンテナンスコストの面でも、集中型の場合、10年目以降は一気に膨らみますが、分散型であれば、問題が発生したPCSを交換するだけなので、低コストで設備を維持することができます。

このプロジェクトで、リパワリングにより、稼働から20年以上経過するFIT終了後も再エネ電源を維持できる事業体制を見出していければと考えます。

太陽光発電所が抱える課題解決に向けての実証

太陽光発電所が抱える課題解決に向けての実証

まだまだ多くの発見と
学びを得る中で

イニシャルコストの低減をプロジェクトの課題の一つとして掲げていましたが、上司である相良グループ長の「PCS全体のAC容量を下げても発電量は変わらないのでは?」という発想はとても新鮮でした。私は元の出力(750kW)に近づけることしか頭になく、当初は740kW(20kW×37台)の設定で考えていました。しかし、発電シミュレーションで560kW(20kW×28台)と比較したところ、発電量の差はわずかで、PCSの台数を減らすことで低減できるコストを考慮すると、AC容量を下げた方が費用対効果が高いと判断できました。この一件で、さまざまな角度から検討することの重要性をあらためて認識しました。

また、このプロジェクトの最終決裁を受けるために、私自身初めてとなる社長へのプレゼンテーションを行うことになり、社内説明資料を作成しました。簡潔にリパワリングの意義を伝えるという点で何度も修正しました。人前で話すことも苦手でしたが、部内のサポートのお陰で無事に終えることができ、今に至ります。入社10年目になりますが、まだまだ発見と学びが多く、日々鍛えられているようです。次の機会には今回の経験を活かし、より納得してもらえるプレゼンテーションを行いたいと思います。

まだまだ多くの発見と学びを得る中で

施工者と事業者の目線を持つ、
大和エネルギーの強み

2023年8月末にPCS更新工事は完了し、9月1日から約1年間の検証作業が始まりました。実はここからがこのプロジェクトの本番ともいえます。当社発電所のオペレーションを担う事業管理グループが持つ過去の発電データとリパワリング後のデータを比較し、リパワリングのタイミングや設備の適正などを精査します。この検証により、当社における今後の事業の進め方や方針も決まっていくと思われます。

当社の強みは、設計から施工、運用・保守、そしてこのような検証も含め、一気通貫で全ての工程が自社で行えることです。施工者目線と事業者目線を持って、お客さまに説得力のあるご提案やアドバイスができると思います。私自身が携わる業務もこのプロジェクトの他に、新規発電所の建設、既設発電所の運用など多岐にわたります。個々の案件での貴重な経験が全ての案件へとつながっていくことを実感しています。

施工者と事業者の目線を持つ、大和エネルギーの強み

施工者と事業者の目線を持つ、大和エネルギーの強み

再生可能エネルギーの可能性を
広げる挑戦が続きます

このプロジェクトは、リパワリングにおける大和エネルギー初の試みです。新しい取り組みというワクワク感とやりがいを感じると同時に、身が引き締まる思いもあります。リパワリングは、FIT終了後の事業継続も見据えた、再生可能エネルギーを推進する上でとても有意義で重要な取り組みです。常に発電量の最大化を目指す当社にとっても、大きな可能性を持つ、期待される事業であることに間違いありません。

挑戦はまだ他にもあります。系統用蓄電池事業の立ち上がりに向け、準備を進めています。電力が余った時は蓄電し、不足した時は放電することで、系統電力の安定化を図り電力の需給バランスの調整に役立つシステムです。「たくさん発電しても余って捨ててしまう」状況を変えることができ、再生可能エネルギーの有効性を高め、普及促進にもつながると考えます。さらに長期的な取り組みとして、FIT終了後のオフサイトPPAでの売電や新規再エネ電源の構築など案件はまだまだ続きます。

でも、まずは今担当する業務を確実に実行していきたいです。そして微力かもしれませんが、再エネの普及に、日本のエネルギー問題の解決に貢献していきたいと思います。

再生可能エネルギーの可能性を広げる挑戦が続きます

※本記事内容・役職名は、2023年9月現在の情報です。